アリスの同類

図書室からはじまる、冒険。 小・中学校を経て 高校に不時着した学校司書の備忘録です。

ここに書いていることは個人の感想です。
転載・リンクはお断りしています(^_-)

『8時15分』

8時15分
美甘章子
株式会社講談社エディトリアル
2014-07-08


『8時15分』
美甘章子/講談社

 

作者である美甘章子 さんは広島の被爆二世。
スポーツ関連の著書もある、心理学者だ。

本の内容を言葉にすれば壮絶だが、読後感は他の被爆体験本とは決定的に一線を画す。
これまで読んだどんな「平和関係」、「原爆関係」の本とも違う。

図書室には『平和学習』の下調べに生徒が本を探しに来る。
準備の為にこの前年(2016年)だけでも20冊を超える人権、戦争関係の本を読みこんできていた。
アウシュヴィッツ、人権問題、自由公民権運動、第二次世界大戦、原爆、それに派生する絵本、写真集も含めて。

この系統の本の体験集の中には、「怨念」とも感じられる辛さが時として伴った。

ろうあの方が、全く耳の聞こえない状態で受けた原爆を手話で語り、それを書き起こした本もあった(これは素晴らしい本だった)。

美甘さんの父は、多くの原爆犠牲者の中で孤児となり、全身にわたる重度のやけど、放射線被ばく、片耳の切断など、心身共にズタズタに引き裂かれた命を持って、それでも恨み節で生きることをしなかった方だ。

原爆で亡くなった祖父、戦地で亡くなった兄の生き方を習い、戦後を生きる糧とした。

やがて父となった彼は、自分の娘、人間として大きな器を持った兄そっくりに生まれてきたこの本の著者の、アメリカ行きを後押しする。

父は前を向いて生きることを娘に教えた。
自分の身体を、人生を破壊したに等しいアメリカに行き、両国の架け橋となるよう娘に託した。
被爆という体験の中身は同じでも、人間の『生き方の表明』が違うと思う。

自分はこんな目にあった。
けれど恨んだままでは終わらない。
それよりこれからどのように戦争という最後の手段を取らず、国と国とが協調できるかを考えようとする。

自分はできなくても子孫にその宿題を託す。

私も母の身体に残された原爆の傷跡を見て育った。何度もあの日の話を繰り返し聞かされて育った。今も聞かされるその話は重く、時間は止まったまま、何年たっても前に進むことはない。これが辛かった。

その私が、読みたかった本はまさにこれだった。
きれいごとではない。
怨念の渦にいたままでは、一歩も前に進めないのは本当だ。
これをきれいごとだと思う方は、本書を一読されると良いと思う。

本の終盤、亡くなった祖父の唯一の形見、「8時15分」が焼き付けられた懐中時計を、善意で展示のため差し出した先のアメリカで盗まれてしまうという話がある。
その時の相手先の対応は全く誠意のないものだった。
孫である美甘さんでさえ怒りで震えるほどの出来事だったはずが、本書の主人公である彼女の父は、物より心、とでも言わんばかりに、拘ることをしなかった。

今この瞬間にも、戦争による悲劇は人ごとではなく自分達の身にも降りかかる可能性は拭えない。
過去の悲劇を風物詩の如くテレビは訴えるが、今この時
考えなくては、伝えなくてはならないことは
他にもっとあるはずだ。


 

『僕は上手に喋れない』

『僕は上手にしゃべれない』
椎野直弥/著

ざっくり書けば、吃音、という個性を生きる中学生が様々な出会いによって殻を打ち破ろうとするお話。

主人公は殆ど作者自身の投影らしい。
彼のコンプレックスが重く辛く、傷付きやすい心を『諦め』という重石でいかに閉じ込めてきたかが切々と描かれる。

人前で話すことができない彼に、何も知らない教師が『走れメロス』を授業中読ませようとする。

この件で彼の吃音がクラス中に知れ渡るのだが、いずれわかることとはいえ、本人にとっては最悪のカミングアウトの仕方だった。

生徒情報の伝達を『レッテル貼り』
だと決めつける意見もあるだろう。

でも、中学校にいた頃の私は
たったその一つの情報を知らなかったばかりに、結果的に生徒に余計な辛い思いをさせたことがある。
まるでこの小説のように。

大人が不用意に放った言葉がどれほど子供を傷つける可能性を持つかがわかっているならば、生徒情報を共有することのマイナスばかりを声高くは言えないと思う。

作家が経験者として描く『普通とは違う』ことの苦悩。

『情報共有』の問題点は、共有する内容の是非とそれを知った上で相手にどう接するかの大人側の対応にある。
知った上で見守る、懐とハートの深さを問われているのはこちらの方だ。

共有する情報の中に先入観を入れないことは最低条件で。

『知らずに傷つける』ことは子供同士より大人からの言葉の威力の方が時として大きくはないか?
まして皆の前では。

『情報』を先入観として捉えているのはその人であって、すべての人がそうではないと思っている。
それが時に切実に必要な場合も、やはりあるのではないだろうか。

『上手にしゃべれない』僕。
この心の柔らかさを傍若無人に踏みにじらないためにも、私は生徒情報は、必要だと思う。

暑中見舞い

中学校の図書室には

未分化な
様々な生徒がやって来た。
 
ある年の夏のこと。
 
卒業生から葉書が届いた。

学校の住所で私宛だった。
 
どうやら進学先の高校で必ず書かされるものらしい暑中見舞い。

丁寧でおよそ彼女らしからぬ真面目な近況報告を
何度も読み返しながら笑ってしまった。

当時担任だった 強面の先生に
『元気そうですよ』と葉書をお見せすると。

コワモテがますますコワイ顔になった。

宿題とはいえ
担任の自分ではなく
司書の私なんかに葉書が届いたのは
そりゃ
ちょっと複雑よね。

でも私と彼女の間には
本当にいろんな思い出があったのだ。


 図書室はしばしば彼女達の隠れ家で、逃げ場所で、そして危うい話をぶちまける所でもあった。

どれ程のことを周りが彼女に言おうとも
私には彼女の生命そのものが、とても健全に見えた。


卒業の日、最後に彼女と目が合った瞬間。
 
彼女の名を呼んだきり、あとは涙で声にならなかった。
 
言いたいことは山ほどあった。
 
でも何も伝えられなかった。
 

『学校はやめないで』

 
彼女の友達を通じて伝えた言葉は、一応届いていたらしい。

 
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片思い文庫

何年か前の
中学校の図書室。
 

1年女子が選んだ片思いの本がカウンター前に積まれた。
 
2年女子がすかさずチェックを入れる。
 
『これは中身がちがーう!』
 
『これ、もう付き合ってるでしょー。片思いじゃないよね。』
 
サクッと別の本に挿げ替えられる。

 よく読んでるなぁ。



 
『片思い』を小説にしたものは、今なら大抵どちらかが死んでしまう話が多い。

 
『難しいねえ。』と2年生の図書委員。
 
『やっぱすれ違いが恋の醍醐味だよね、』と、
 
一年早く生まれただけの『恋のセンパイ』達はため息をついた。

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悲しい日

地上波テレビを殆ど観ない私だって

亡くなった若い俳優さんの名前は知っていた。



檸檬絞りでギューギュー絞られるような
酸っぱくて苦い
自分の気持ちにどう名前をつけてよいものかわからない
そんな日も

私はよく本に埋没した。

今日もそういう日


この仕事をしていて
文字を読むことが困難である生徒と
どう接してよいか
悩んだことがあった。



Wikiよりお借りします
 ディスレクシア英語; dyslexiaディスレキシアとも)は、学習障害の一種で、知的能力および一般的な理解能力などに特に異常がないにもかかわらず、文字の読み書き学習に著しい困難を抱える障害である。失読症難読症識字障害(特異的)読字障害読み書き障害、とも訳される。発達性読字障害(DRD; Developmental reading disorder)とも呼ばれる。1884年にドイツの眼科医ルドルフ・ベルリンドイツ語版によって報告され命名された。
トム・クルーズ、キアヌ・リーブスなど、ハリウッドにはディスレクシアを公表している有名人も少なからずいます



当時、彼は中学3年生。
当番ではない日にも
必ず図書室に足を運ぶ大人しい図書委員だった。

シャーロック・ホームズの話で女子生徒数名と盛り上がっていた昼休み。

彼女たちの輪の中から抜け出して
図書室の隅で騒ぎを起こしそうな集団に気を取られていると

「先生、僕もシャーロック・ホームズが好きなんです」
ふいにそう話しかけてきた。

「どの話が好き?」
聞いてみても曖昧な笑顔を浮かべるばかりで
そのまま短い昼休みは終わった。


その中学校は
何と言えば良いのか
色々な生徒がいてなかなか大変な所だった。

何も知らずに図書室で生徒のレファレンスをすることを
丸腰ではもう限界だと感じて
特に長期休暇前後の職員会議には
求められることはなくても
図々しく必ず席に座って僅かに上がってくる情報を(メモに取ることはできないので)頭に叩き込んだ。

当たり前だけれど、生徒の個人情報は職員間においてもとても注意深く守られる。
半分部外者のような学校司書なら尚のこと
知らされないことが常識と言ってもいい。

でも司書の立場で言わせて貰えば
知らないが故に不用意な言葉で生徒を傷つけることは実は意外にある。

それに気がつくことができるかどうかは個人の資質によるかもしれないけれど
これも情報量によるのが現実。

生徒は誰かの大切な子ども。
だから最大限の注意と敬意は払っていたい。


それでもわからない、知らないことは多すぎた。

ある日職員室で3年生の先生に
あの子はシャーロック・ホームズが好きなんだそうですよ、と
先の図書委員の話をしていると
隣にいらした支援担当の先生が驚いた顔で私の顔を覗き込んだ。

「あの子はディスレクシアよ。読める筈はないの。」

小学校の課題図書にもその特徴を持った女の子が小説を書こうとする本があったりしたが、学校に勤めていなければ知らないままの言葉だったと思う。

とにかく驚いた。


そこから
公共図書館、ネット、本、
わかることは調べ
わからないことは支援の先生方のお力を借りて
不遜な言葉だけれど
自分なりに勉強した。

ディスレクシアだけではなく
病気で脳が圧迫され、視力障害がある生徒がいること
家庭環境など様々な要因で
本を読むどころではない
読めない生徒が何人もいることを知り

その生徒たちが
図書室で本を手に取ることも取らないこともありながら
皆いつも笑顔だったことに
打ちのめされた。


私にできることは何だろう。

図書館から
大活字本を借りて提供する
ディスレクシアの生徒向けの教材を調べて先生方と情報を共有する
そんなことが何になる?


できることなんて無いに等しかった。


「僕もシャーロック・ホームズが好き」

それを本の話だと思い込んだ自分を今でも馬鹿だと思う。

そう言いたくなった彼が
どんな気持ちだったかなんて知る由もない。

ディスレクシアの方が
様々なことを乗り越え、会社を経営するまでになり
これまでの自らのことを綴ったブログ(これはすごいことなんです)も読ませて頂いた。
私は救われるような気持ちになったけれど
彼はこのブログを読めないのだ。

PCの文字情報を音声で読み上げてくれるとか
今ある便利な機能を使いこなせるようになっていてくれることを信じる。

彼の進学先を私は知らない。

どんなに言葉を交わしても
司書なんてそんなものだ。

それでもこんな日には思い出す。


あの子たちが
あれから少しでも幸せな道を歩いていることを

文字でなくても

他の楽しさを多く知って生きていることを
今も願わずにはいられない。












 

女子一歩手前トーク


『つかさの中学生日記 ポニーテールでいこう!』
宮下恵茉/ポプラ社 

いやこれ、要するに少女漫画的なお話というだけなのだが。
このシリーズを今日は(これは2017年の日記)3冊も読んでしまった。

というわけで、心は今、13歳なのである。

昼休み、リアル6年女子軍団と、美肌トークを繰り広げる。

『えええ~?紫外線予防なんて、常識でしょーーー』と、
シミにレーザーをあてたばかりの私の絆創膏顔に向かって
ダメ出しを食らわせる。

『だって、私が小学生の時なんて、紫外線予防なんて言葉も聞いたことがなかったんだもん』

『ふうーん。わたしはね、キッズエステに行ってムダ毛の処理もしてんの』

ええええええええええ???????


 

『十二世紀のアニメーション』

『十二世紀のアニメーション』

『マンガやアニメは、絵本とともに、「絵に言葉をそえて語る」という、日本的伝統のいわば今日的展開である』

こう書くのはあのジブリで映画監督を務めた、高畑勲氏である。

日本人は漢字と平仮名を、脳の違う部分で記憶しているという研究がされているそうだ。
つまり、わたしたちは漢字を『絵』として記憶している、と。
日本人が絵画の中に残してきた、今日的映画の手法、マンガ的線の使い方は、そこから始まっているのではないかとこの本は喝破する。

『鳥獣戯画』は6年生で教わる。(この時は2017年。2020年教科書が変わっているので現在は調べていない)
そこで参考図書に加えた。
昨年話題になった、絵巻物の順番は、この本ではすでにその順番で掲載されていたので一安心。

高畑氏は、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』の冒頭、アリスが姉さんに言った

「絵も会話もない本なんて、何の役に立つのかしら?」

という言葉を引用し、
『わたしたち日本人は大人も子どもも、昔からアリスの同類だったらしいのです。』と結んでいる。

私はこの言葉を何となく覚えていて、これをアリスの愚かさだと理解していた。

目からウロコとはこのことだ。

ある種研究書といっても良い程の濃い内容。本当に面白い。


そのアリスと同類らしい自分のブログを、このタイトルにしたわけだ。

 

ハリー・ポッターと呪いの子


『ハリー・ポッターと呪いの子』
リンダ・ローリング/ 静山社

 
舞台化された19年後のハリーポッターの物語。
台本のまま翻訳されているので、読みにくいがさすがに感慨深い。

作者と台本作家の、ファンに送る『excuse 』として受けとった。

スネイプ先生、セドリック、ダンブルドア校長、ヴォルデモート、あのペチュニアおばさんに至るまで、何がしかの『excuses 』をファンに向けて送っている。

それにしても、彼独特の魅力は全て息子に持っていかれたのだろうか?

ハリーとジニーがウィーズリーのおじさんおばさん夫婦のようにはならなかったのは、ハリーポッターが『ヒーロー』、あるいは伝説となってしまったせいだろうか。

 

鼻血

『鼻血』

以前いた中学校の図書室。
 
カウンターで本の貸し出しをしていた女子が、突然の鼻血。

彼女は慌てることもなく、『鼻セレブ』の携帯ティッシュをポケットから取り出し、ガッと鼻に突っ込んで、普段から涼やかなその表情を変えることもなく、鼻に『セレブ』を突っ込んだまま、100人超えの来館生徒を次々とさばいていった。

紫陽花のような清涼感を纏った13歳だが、いやいやどうして、多分中身はマッチョなんだと思う。
空手の試合、頑張れ。

いよいよ新緑は濃く。

『カラフル』

カラフル (文春文庫)
森 絵都
文藝春秋
2020-04-17


『カラフル』
森絵都
 

小学校の学校図書館にいたある日のこと。

中休み、6年生が焦って本棚を探している。

「先生、カラフルが無いんです」

「あの本読んだでしょ」と言うと、

「国語の授業で、心に残った本のことを書かなきゃならなくて。」と答えた。

本は貸し出し中だった。

結局、他の本を借りて彼は教室に戻った。

あの本が、この子の「心に残った本」になったんだな……。

彼が5年生のある日、「カラー、フル?っていう本、ありますか?」と聞いてきた。

「へえ、何でその本読みたいの?」
私はタダでは本を一緒に探したりしない。

「お兄ちゃんが、読めって。」

名札を見て、ピンときた。

「S君の弟?」

お兄ちゃんのS君は当時中学生で
硬派なロマンチストだった。

友達に引っ張られるように中学校の図書室にやって来ては
働かない図書委員よりもよく動き
皆に頼られ、人が良いので好かれすぎて
損ばかりしていた。

その頃の彼は、何かに目覚めるように「君の膵臓がたべたい」系の草食恋愛小説を片っ端から読んでいた。

その彼が弟に選んだ本。

素敵な選書だった。

中学校にひと走りすれば、授業には間に合う。(当時小・中学校の2校兼務だった)

生徒のことより「許可申請」の方が好きな上司のシブい顔に頭を下げ、走って本を借りに行った。

この本は、他の誰より6年生になった彼にとって、特別な本だから。

そして、私も皆と同様に、S君の困ったような笑顔が好きだったから。

 

やはり俺の図書室利用の仕方は間違っている

毎日のように部活や自学から逃げ出して図書室にやって来る2年生男子。
 
時々同級生が彼を捕獲して部室や教室に連れて帰ります。

書架の隙間に隠れるように座り込み

時には

「坂道のアポロン」に読み耽り 

時には
織田信長 (ちくま新書)
神田千里
筑摩書房
2014-10-17


「織田信長」を読みかかっては
結局途中で諦めたらしかったり。

借りた本を返却しないばっかりに
借りたい本を借りられないという(1人3冊までなんです)
図書室あるあるを繰り広げている
怪しげな動きをする生徒です。

今は我慢のしどころですが
生徒情報が欲しい生徒の一人かな。

昨日彼がこの本を差し出して言うことには。
 
『この巻だけ図書室に入ってなくて、俺自分で買って読んだんですけど・・・
寄贈していいすか?』

 
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調べると
やはりこのシリーズは元々4巻だけ入っていませんでした。

 
借りて無くした言い訳じゃないかと疑った私を許して(^^;;

 
図書主任の先生の許可が出たのでありがたく登録しました。


 

図書委員のカバンの中


ある図書委員(女子)は本が雨に濡れないよう、ビニール製のブックカバーの上からLOFTで買ったという分厚いブックカバーをかけ、それを更に100均の透明ボックスに収納し、リュックに入れていました。

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ブックカバーから出てきた本は何と!
 
面白そうなミステリと
啄木鳥探偵處 (創元推理文庫)
伊井 圭
東京創元社
2008-11-22


 
『銀河ヒッチハイク・ガイド』


 
好きな声優のオススメ本だから読むのだそうです。

声優さんオススメの本を買うと、彼の特製ブックカバーが付いてくるのだとか。

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ほんと、私の知らないことばかり。

図書委員は師匠です。

 

掃除時間

この高校は掃除時間も図書委員がお掃除に来てくれますので
私は図書室の本の入れ替えや書架表示の入れ込み、
図書室内の掲示物の入れ替えや書架整理などを
生徒それぞれのやる気と興味の様子を見ながら
バンバン頼みます。

『今までこんなことしたことなかったです』とブスッとする女子や
図書室を変えていく作業に興味津々の男子。

モップを持ってうろうろするだけより
本棚に面出しする本を選んでディスプレイする方が面白いと気がつけばこっちのものなんですけど。


私は床のお掃除もですが棚拭きもしっかりしておきたいので
人が手を触れる部分は使い捨てのシートを細かく切って
3、4人がかりで拭いてもらったりもします。

掃除時間に生徒指導をしてくださる先生も図書担当の先生ですので
私のこの傍若無人な態度(申し訳ないとは思っているんですよ)にも
だんだん慣れてきてくださったようです。

 

掲示板

正門入口横の掲示板を充実しようと
今月の掲示板担当の女子が放課後のカウンター当番の空き時間にも
新刊紹介のキャッチコピーを考えています。

この掲示板はこれまで
カビとサビに汚れた一面に模造紙を1枚貼ったものでした。

掲示板より小さく、大きさの合わない模造紙に図書委員がおすすめの短文を書き
本の表紙コピーを貼って完成。

マジックで手書きの文字は小さく不揃いで
面接のために初めて校門を通り
この掲示板を見た時にはしょんぼりした気持ちになりました。


5月の掲示板のカビサビが目立つ空きの部分に和紙や花の飾りを足したのを皮切りに
全く関係ない方面から「それあなたの仕事じゃないよね」なんて言われたりもしましたが
材料だけ用意して、後は図書委員が作って掲示するなら問題ないかと思い
もちろん図書主任の先生とご相談の上

ようやく今月
カビサビだらけの茶色い下地の上に
ブッカーをかけて補強した色画用紙を全面に貼り
その上に図書委員がおすすめ本の表紙や
字数を少なくして見せることに特化したキャッチコピーを加えた
誰も読まない掲示板ではなく
誰でもパッと見る(であろう、そうであって欲しい)掲示板へと最初の一歩を踏み出しました。

最初はどんよりやる気のなかった女子たちでしたので
マスキンングテープや折り紙(百均って素晴らしい)など
手持ちの「可愛い」小物を総動員してテンションを上げてもらいました。

女子高生は可愛いよりかっこいい系が好きな女子も多く
その点趣味が合うので助かります。

 

LGBT関連絵本を大まかにざっくり

今は小学校の図書室にもLGBT関連の絵本(ほんとに子供向けの絵本です)が置いてありますね。

取り立てて紹介することも説明をすることもありませんが
絵本書架も子ども向けとは言え世の中とは無縁ではありません。

Wikiからお借りします

LGBT(エル・ジー・ビー・ティー)とは、女性同性愛者(レズビアンLesbian)、男性同性愛者(ゲイGay)、両性愛者(バイセクシュアル、Bisexual)、トランスジェンダーTransgender)の各単語の頭文字を組み合わせた表現である。




有名どころ(?)ならこんな感じです

いろいろ いろんな かぞくの ほん
メアリ ホフマン
少年写真新聞社
2018-02-02



『いろいろ いろんな かぞくのほん』
メアリ・ホフマン/少年写真新聞社

大きめの本で、文字と絵がごちゃごちゃしているので
実際子どもが好んで読むかといえばそうでもないと思います。


タンタンタンゴはパパふたり
ピーター パーネル
ポット出版
2008-04-16



『タンタンタンゴはパパふたり』
ジャスティン・リチャードソン/ポット出版

ほっこり系でしょうか。
タイトル通りのお話です。


私が特に好きなのはこの2冊

レッド あかくてあおいクレヨンのはなし
マイケル・ホール
子どもの未来社
2017-01-20



『Red あかくてあおいクレヨンのはなし』
マイケル・ホール/子どもの未来社

これはちょっとじーんときました。
LGBTでなくても
変わってるね、と言われがちな人には響くのではないでしょうか。


王さまと王さま
ポット出版
2015-08-26



『王さまと王さま』
リンダ・ハーンほか/ポット出版

こちらはもう、幸せな気持ちで読めます。
王さまがお見合い相手のお姫様のお兄さんを好きになってしまって
二人はめでたしめでたしで結ばれるんです。


 お気づきかもしれませんが、
どの絵本もここ数年で翻訳された海外の絵本です。

個人的には無理に日本の作家がこの題材を扱う必要は無いと思います。
絵本を始め、児童書には特に
「めあて」を持って書かれたような
何というか所謂商業的なものが時折紛れていて

幼く漫画っぽい挿絵や挿画と共に時々ガッカリさせられるのですが
そういうブームに
こういったテーマを乗せないでもらえるといいなと思います。

 

ついてない日

あれからもう何年も経つので
そろそろ日記として公開しても良いかと思い
書き残しておきます。

ある小学校でのこと。 

5年男子が
図書室の戸締り当番で放課後やってきました。
 
『今日はついていなくって』

黙って聞いていると、意外な悩みを打ち明けました。

『お父さんは応援してくれてるのに、オレは期待に応えられない』

今流行りの『書かせる学習』が重なり、いくつもの『まとめ』を上手く書けなくて困ったらしいのです。



5年男子の頭の中の
『親のプレッシャー』の存在。
 

こんな時、必要ないと思っていた『生徒情報』が、
やはり大きく意味を持つことを実感します。

彼は優秀な両親と姉妹に囲まれて育ちました。
 

彼の心の中には、自分で下した自分への評価と、父の願う『我が子』像の食い違いが重くのしかかっているのでした。

私は黙って聞くことしかできないけれど。

図書室に大人がいる意味は
こういう時にあるのではと思うし

それが司書であることは
いざという時に先生方にお伝えできる 
内部のような外部のような
不思議な立ち位置ならではなのではないかと思います。

 

桜桃忌

勤務校に来たばかりの4月。

私はまずこの高校で昨年1年間に
多く読まれた本と作家を調べました。

学校全体の読書傾向というのは
蔵書と先生方のご指導に密接に関係していて
この高校の場合
本は『人間失格』
作家は『東野圭吾』でした。

人間失格
太宰 治
2012-09-27



ところが除籍された本の中には
太宰の『女生徒』が入っていましたし
書架には『人間失格』ばかり何冊も並んでいて
太宰治の扱いがどうにも分からないのです。

女生徒 (角川文庫)
太宰 治
KADOKAWA
2009-05-22



なぜ『人間失格』が読まれるのかを考えると
先生から勧められたか
受験と何か関係するとしか思えないのですが
まだよくわかりません。

三省堂の教科書で取り上げられているのは
『富嶽百景』。





国語科の教科書で「定番教材」と呼ばれている作品の代表格が

芥川龍之介『羅生門』
中島敦『山月記』
夏目漱石 『こころ』
森鴎外『舞姫』
この 4作品だと言います。

ところがこの学校の図書室には
これらの本よりもずっと多く
『人間失格』が並んでいるのです。

研究授業か何かで使われたのか
都合があったのだとは思いますが
図書室的には少し考える必要があります。

『人間失格』を減らすのではなく
他の作品を増やす。

『太宰治を読んだことがありますか?』
yes
そう答えて『人間失格』を読みましたと言えれば
それで良いのかという話です。

太宰治の『道化』は
自身の弱さに被ってみせる仮面であり
その哀しさを根底に
文字通り笑えるところまで昇華された作家のサービスでもあります。

私は太宰の真骨頂が『笑い』にあると思う点で
又吉直樹さんの意見にとても共感するのです。

この学校で
選書は先生方がされますが
太宰治の面白さを
『人間失格』で終わらせない書架を準備できるよう
選書リストに数冊忍ばせておこうかと
密かに思っています。




今日6月19日は桜桃忌。

太宰治の誕生日であり
玉川上水でその遺体が発見された日でもあります。


 

ツバキ文具店

ツバキ文具店 (幻冬舎文庫)
小川 糸
幻冬舎
2018-08-03



『ツバキ文具店』

あなたがどうしても伝えたいことを、もしも上手く書くことができなかったら‥。
あなたの思いを、代わりに書いてくれる代書屋のポッポちゃんを尋ねてみませんか?

鎌倉を舞台に、古き良き時代のカケラを慈しむように、端正な佇まいで繊細に生きる人々。
文具店兼代書屋さんになった鳩子とご近所さんの付かず離れずの距離感がいい。

鎌倉の美しい四季、季節を迎えるしきたり。
次々に食される美味しそうな食べ物、肩を寄せ合いささやかに生きる喜び。

ドラマのように情景が浮かぶと思ったら、本編ばかりか続編もあったようだ。

過去から踏み出す希望に、何故こんなに涙が流れるのかが不思議。

ワケありの依頼主の物語と、鳩子の日常が交差しながら物語は鳩子自身の心の変化を優しく描く。

読書は仕事の一部ではあるけれど、泣いていては始まらない。

柔らかく心をほぐすような小説に
ひとときホッとした心持ちになった。

 

失敗オリエンテーションの長話(中学校の場合)

基本的に私の勤務する高校のオリエンテーションは先生方が図書室利用の注意点を説明して本を借りて帰るだけです。

多分どこもそうではないかと思います。

小学校では利用の仕方に重きを置き、NDCに沿って本棚を巡りながら(可能な限り)どの本棚にどんな本があるのかは簡単に示していきました。

中学校ではまた違いました。
分類はともかく
自分で調べたいことがある時
本を探すにはどうすれば良いのか。
本と本の関係性などを話していました。

あくまでも自分の例です。

以前勤務していた中学校のオリエンテーションのざっくりした記録を見つけたので載せておきます。

ちなみにこのブックトークの後
すごい自己嫌悪で落ち込みましたT^T

以下覚え書きです

////////// 

話が長く、意味が伝わらない自己満足に、またしても終わってしまった(-。-;
 
反省…。
 
正味40分弱。
そのうちブックトークに使えるのは10分弱。
 
どの本棚にどんな本が置いてあるのか見せながら面白い本を紹介しなくてはならない。
 
幅広い分類の本を使って紹介するが、大抵最初の0類インターネット関連の本とスティーブ・ジョブズ、5類の工業関連の本で話が止まらなくなるのでここは思い切って割愛。
 
まず辞書の説明。
 
ポプラディアで『紅茶』を引き、元は同じ日本茶であることを調べてみせる。
 
6類産業にお茶の栽培の本がないのでこちらの話は別途。
 
1類はあさのあつこの『YAシリーズから』別途。
 
紅茶の話から2類の人物伝に行き『大浦慶』を引き、日本からイギリスに茶葉を輸出した女性がいたことを知らせ、そこから坂本龍馬の2類伝記本へ。
 
海援隊(龍馬の会社)の旗印とソフト◯ンクのロゴの関係を示し、3類国旗図鑑の船の旗印を見せる。
 
そういえば紅茶のアフタヌーンティーは、と地理の本棚からロンドンの街角写真集を見せ、そういやイギリスが産んだ舞台作家シェイクスピアは…と、『十二夜』のラノベのような目次を読んでビックリさせてみる。
 
本当はここからカズオ・イシグロとダウントン・アビーに行きたいところだが難しいのでやめる。
 
そこで『十二夜』の『我が身を杉の柩に横たえよ』のセリフでクリスティの『杉の柩』に飛んで、このセリフのように『赤毛のアン』の大げさな物言いが馴染めなくて読みにくいのは、シェイクスピアなどの引用が多いからで、諦めずに読んでおこうと言っておく。
 
本当はシェイクスピアから7類バレエの本に行って、ロミオとジュリエットの話もしたかったし、赤毛のアンからマーク・トウェインにも繋げたかった。
 
ここにある本を繋げるだけでも40分の中の10分程度ではとても足りない。

本を紹介するなら簡潔に、と自分に言い聞かせるのですが、無理のようです。

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今読み返してもひどいwww



 

『Before I die』

16歳。死ぬ前にしてみたいこと
ジェニー・ダウンハム
PHP研究所
2008-09-19


以前、中学2年生の道徳の時間に使う本が手に入らないことがわかったため、他に参考図書を探していて、この本に読みハマってしまった。
余りにリアルすぎる、死に向かう16歳の少女の目から見える世界。

仕事としての読書は時に辛い。
普通なら決して手に取ることのできない小説。

こんなに生きていることの実感を欲する人間と、本の上とはいえ同化するような錯覚に陥ってしまったら…。

シチュエーションは『君の膵臓がたべたい』の主人公が、亡くなっていく少女自身に変わっただけ。
なのにこれは全く別物。




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