アリスの同類

図書室からはじまる、冒険

7類

漫画の時間


昨年までいた中学校でのこと。
 

昼休み、中1男子が二類、地理・歴史の書架前で輪になって文庫を見ていました。
二類は男子が大好きな分類ですが、文庫本で輪になる程のものはない筈。
私が後ろから覗いても気がつかないほど、皆夢中になって本を見ています。
 思った通り、そこにはとんでもない挿絵があったわけですが、彼等のお望みの場面を見つける能力に私は舌を巻いたのでした。
『漫画の時間』は七類芸術の書架から見つけてきたようです。偉いなあ。

いしかわじゅんの漫画の書評は的確で素晴らしく、午後から職員室でゆっくり楽しませて貰いました。
『文字ならまだいいけど、視覚的にはこれアウトだよね』という国語の先生のご意見はごもっとも。
除籍と相成りました。

 
それにしても、梶原一騎原作の『巨人の星』と『あしたのジョー』。
前者がパロディ化され、未だ笑いを誘う作品となった一方、後者が伝説的名作であり続ける理由を、劇画家のスタンスの違いにあると喝破するいしかわ氏の筆致は優しく、同業者であり読者でもある視点からわかりやすいものになっています。
マガジンもマーガレットも大好きだった私には懐かしい漫画家ばかり。
出版から20数年経ってもいますので、後ろ髪ひかれながらも。
さようなら、漫画の時間❗️

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人生は冒険『いま生きているという冒険』

『いま生きているという冒険』
石川直樹

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人生は冒険。
やってみなければわかりません。



石川直樹さんをご存知でしょうか?『いま生きているという冒険』を読んだ時、あまりの衝撃にこの人は長生きしないんじゃないかと心配になり、実は時々動向をネットでチェックしている冒険家なんです。
 
『世界を見に行く。』は絵葉書としても使えるので、図書室にはどうかと思いましたが、『旅に出よう。この本といっしょに。』の帯を見てしまったら、もうダメです。
 
いつか誰かが気がついて、あの冒険家のその後の生き様を一緒に読んでくれたら、と、昨年までいた中学校の選書リストに入れてしまったのでした。

今では写真家、博士号も持った偉い人ですが、この本に綴られている人生の前半は、Wikiにさえ載っていません。
 
うろ覚えですが、彼はカヤックか何か、船で海を航海するための昔ながらの航海術を教えてもらうために、南の島の長老に弟子入りします。
 
彼の冒険には、七大陸最高峰登頂世界最年少記録を更新したとか、そういう記録よりももっと切実な『全身全霊』が感じられます。
 
身も心も全て、冒険することが生きることそのものであるかのようです。
この本を上梓した後はWikiに載っている通りなのでしょうが、あれだけの旅を続けた後で大学で学んだ、というところがまたすごいと思いました。
 
学問だって、冒険です。

石川さんのフォトブック『世界を見に行く。』 は図書室向けとは言えない『絵葉書になる本』。

 けれど時として言葉より雄弁な真実がそこにはあるのでした。

 

科学的を空想する『空想非科学大全』

空想非科学大全 (空想科学文庫)
柳田 理科雄
メディアファクトリー
2003-04-01




 空想非科学大全
柳田理科雄/著

目次ですでに色々な想像が駆け巡る🤣

法則1 ヒーローは、たった3分間で
地球の平和を守らねばならない!

法則2 正義の組織の基地は、絶対に秘密でなければならない!

科学的に大真面目にヒーローのツッコミどころを語ります。

ーーーーーーーーーーーーー
『だが、ちょっと待て。わずか3分の活動時間で、この広い地球を守る。本当にそんなことが可能なのだろうか?』

『各種の怪獣図鑑によれば、ウルトラマンはマッハ5で空を飛び、時速450㎞で走る。また、200ノットで泳ぐこともできるという。』
ーーーーーーーーーーーーー



まじウルトラマンすごい、と思いますよね。

柳田先生そこで計算するんです。

ウルトラマンが空をマッハ5で飛んだとすると時速6120㎞。
東京を出発して西に向かった場合、この速度で3分間。
どこまで行けるかって、名古屋なんだそうな。
行ってる間に地球は宇宙人に支配されてしまう😱
困って親兄弟を呼び始めると。

因みに1番早く空を飛べるのはセブンだそうです。
日本周辺にウルトラ兄弟を配置して効率的に宇宙怪獣から守る布陣も載っているのは楽しい。

ヒーローの知能指数も只事ではありません。
仮面ライダー1号、本郷猛は600。
ウルトラマンが10000。
チブル星人(ウルトラセブン第9話登場)に至っては50000。

地球を救う方もヒーローと戦う方も大変大変。

本郷猛は、私の記憶に間違いなければ初恋の人だと思うのですが。
彼が世界有数の生化学者とはついぞ知りませんでした。
私の初恋は、フィクション、ノンフィクションに関係なく
知的水準の違いで終わっていたのでした。

バルタン星人の視力なら1万メートル先のコメツブが見えるそうで。
柔道一直線の『一条直也』の2段投げ、一度投げた相手に彼が追いつく速度は時速700㎞とか。

魔法使いサリーのバトンからは車やお菓子や豪邸。
モロボシ・ダンの小さなカプセルからは怪獣。
キューティーハニーは何も無い空間から服を取り出す。

柳田先生は悩みます。

『彼らの奔放な行為の前には「質量保存の法則」が立ちはだかる。』

キューティーハニーが何故全裸になる必要があるのかの考察、
こういう話はもういっくらでも読めます。

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鳥獣人物戯画



 『鳥獣戯画を読む』
「鳥獣人物戯画  甲、乙巻」。

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ー 
小学校用に毎年公共図書館からお借りしています。
 
レプリカとはいえ、パタパタと絵巻物として開いていくと、その迫力に子どもたちから歓声が上がるそうで、毎年好評です。
 
破損すると弁償しなくてはなりませんので、いっそ手元に持っておこうかと調べたら、4巻セット、40000円😅
6年生国語。今の図書室には国語の教科書が全学年分置いてあります。
 
これまでも毎年『鳥獣人物戯画』の単元の為に資料を揃えてきましたが、自分が斜めに選んで入れたと思っていたあのジブリで活躍された高畑勲『十二世紀のアニメーション』の高畑さんの文章から、子供向けのものが教科書に載っていたんですね。
 
今更知ってびっくりしました。
 
知らないって、怖い。
 
読み比べると教科書よりこちらの本の方がわかりやすかったので、この単元で研究授業をする先生に『十二世紀のアニメーション』をお勧めしてきました。
 
6年生の教科書には、宮沢賢治の『やまなし』と、その解説となるエッセイが載っていて、とても素晴らしかったです。
 
しばし仕事を忘れて教科書を読み耽ってしまいました。


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また、この場所で





このフォトエッセイにおける浅田真央の印税は全額、東日本大震災で被災した 
子どもたちを支援している「Support Our Kids」に寄付されます。


読みました。

表紙の中まで、桜色。

装丁、写真も勿論ですが、編集による語り口調の再現は素晴らしい。

そして字体。

ページを開くと、真央さんの笑顔の写真。

雪一面の平野の風景に、『今の気持ち』と書かれた序文。

引退会見の日のこと、それから1年たった今の気持ち。
何とも言えないピンク色の文字から、真央さんの声が聞こえてくるようでした。

この色とこの字体を選んだ人はすごい、と思います。

各章、タイトルより本文の方が文字が大きいことからも、
真央さんの語りを前面に、できる限り正確に伝えるために、
考え抜かれたと思うのですが。
本当に微妙なフォントのせいか、ページに言葉の温かみが見えるのです。

『スケート靴をもう一度履き直すことは、私にとって大きな決断でした。』



それほどまでに悩んだ末の決断だったのかと。
その決断がなければ、本当に真央さんはスケートをきっぱりとやめるつもりだったのかと。

改めて、2度とあの滑りが見られなくなる寸前だったことに、ヒヤリとしました。

アイスショーの準備の中で、曲の解釈も現役時代とは変わったこと。

『今は本当に自由なんです!』

スケートを自由に滑ることができる喜びを噛み締めながらのアイスショーの準備。

お母様の言葉を、真央さん自身が語っています。

『勝った、負けたではなく、氷の上で生き様を見せる』



いやもう、泣きながら読んで泣きながら書いてるんですが。

何しろ前回の本より更に、真央さんの気持ちが前に進んでいることに驚きます。

お母様の生き方、お母様の言葉を、真央さん自身が語ります。

お母様の言葉が彼女の身体の一部、生き方そのものになっていることが、真央さんから語られたことが大切だと思うのです。

子ども達にスケートを教えていきたいこと。
それも、全力で。

頑張る、と言う言葉より、『精一杯、やりきる』。
『精一杯、生ききる』。

そうして生きてきた証を、サンクスツアーで、きっと見せてくれるのだと思います。

真央さんのスケートへの想いが、ようやく自由に伸びやかに花開きます。

『第二の人生は、きっと長くなると思うんですが』と、あります。

まだ観ることができる、それも、もうしばらくは。

それだけで、どれほど嬉しいことか。

最後に、今、地元大須のリンクで滑っていることも明かしています。

原点に帰って、楽しかった思い出深いリンクで滑る真央さんの幸せな笑顔。

自然体の写真と、さらっと書かれているようで、彼女の競技人生を見て来たものにはずっしりと想いの詰まった言葉。
その両方に力づけられます。

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はどそん

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