アリスの同類

図書室からはじまる、冒険

3類

『社会科学』のふしぎ

私見です。



 
2004年出版の『みんなで楽しむ‼️障害者スポーツ』という本。
 
障害者スポーツというだけで、社会科学に分類されています。
 
この本は来年の東京オリンピックパラリンピックに向けて除籍します。新しいパラリンピック関連本は既に入れてあります。
 
この古い本に付けられた369という記号は『社会福祉』。防災の本もここに分類されます。
 
今なら全てではないにしろ、副題の『パラリンピック』という括りでこのタイプの本は7類スポーツで分類されるのではないかと思います。

実際、新しいパラリンピック関連の本はスポーツとして分類されます。
 
ほんの十数年ですが、パラリンピックアスリートの活躍は、本の分類さえ変えてしまいつつあるように思います。障害者スポーツであっても『スポーツ』。
 
『社会福祉』の一環というだけではもうないのだと思います。


 新しい本にブッカーをかけている最中、ふと3類ばかりだと気がついて、考えてしまいます。
 
ここでは3類ばかりですが、メディアに関する本の分類がバラついているのは、メディアの捉え方が其々の本で違うからでしょうか?

 
0、1、5、3類にわたるメディア関係の本。今やメディアリテラシーは教育問題であり、情報は疑ってかかるものに変わってしまいました。

蔵書バランスは崩れますが、0類にあるコンピュータの本も、もう使えません。
 
プログラミングの授業が導入される前に、大昔のパソコンの本は総入れ替えが必要。
 
でもこれは引き継ぎ書には書けないな。

ディオールのTシャツにもなった『WE SHOULD ALL BE FEMINISTS』

男も女もみんなフェミニストでなきゃ
チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ
河出書房新社
2017-04-19



『WE SHOULD ALL BE FEMINISTS 』
Chimamanda Ngozi Adiche

仕事から帰って、家事もそこそこに1時間もかからずに、読み終わってしまいました。

スカッとしました。

実は『No.1レディーズ探偵社、本日開業』(著者はスコットランド人、舞台は南アフリカのボツワナ)を読んで、何ともやるせない気持ちと、わずかな希望がごちゃ混ぜになっていたままでした。
アフリカ人女性の自立を描いているようで、彼女達を取り巻く状況は変わっていないのではないかと。

この本は2012年にTEDxEustonで作者が行ったトークが、書籍化されたものです。
映画『カラーパープル』を観てからすでに30年。
アフリカ女性は、こんなにも素晴らしい進化を遂げつつあるのでした。

『ジェンダーの問題は、私たちがありのままの自分を認めるのではなく、こうある「べき」だと規定するところにあります。』

男性の立場だって、『男だから』と型にはめられることだってあるのです。チママンダの言葉は、明快でわかりやすく、実に公平です。

彼女の小説を早く読みたくてワクワクしています。
ノーベル文学賞から、そう遠くない作家かもしれません。


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ドイルも乗ったヴィクトリア朝『美しき自転車乗り』




この『ヴィクトリア朝の暮らし』にはイギリス、ヴィクトリア朝時代、中産階級の女性の話が載っています。
『ビートンの家政本』と呼ばれる中産階級の主婦を対象にした家事の本を作ったビートン夫妻の生涯と共にこの時代のイギリスの生活がつぶさに描かれていきます。
結婚式、家のしつらえ、使用人の扱い、社交、もてなしの仕方、料理のレシピ、教養。
オスカー・ワイルド、ディケンズの登場人物やストーリーから読み取ることのできる当時の家庭事情が随所に散りばめられ、ビートン夫妻の家政本が作られる過程と共にとても読み応えがあります。
冬の楽しみ読書や刺繍。特に読書の項には、当時のベストセラートップ10や図書館、貸本屋事情も載っていて飽きることがありません。

ドラマ『ダウントンアビー』は20世紀初頭、エドワード朝時代貴族の話だったのですが、何かとイメージ的に被るところもあります。
それにしてもこの時代の後半に登場したシャーロック・ホームズの背景が、この本を読むと生き生きと思い返されるのです。


そこで

『美しき自転車乗り』

シャーロック・ホームズ 完全ナビ
ダニエル・スミス
国書刊行会
2016-09-26



『シャーロック・ホームズ完全ナビ』
ダニエル・スミス/著より

『美しき自転車乗り』は、
シャーロック・ホームズもので、タイトルがひときわ目を惹く短編です。
美しい女性が、住み込み先の職場から毎週母の元へ帰るため自転車に乗っていると、そのあとをつけてくる男がいると、ホームズに相談に来ます。
『シャーロック・ホームズ完全ナビ』には
実際にドイルと妻が2人乗り自転車に乗る様子も載っています。

ヴィクトリア朝時代、自転車に乗ることは女性の健康によくないとされていたそれまでの常識を覆し、女性たちはサイクリングをスポーツとして楽しむようになったそうです。

自転車用ファッションも流行するようになったことも興味深いですよね。
ドイルがそうした時代の大道具、小道具を作品のモチーフとして巧みに使っていたことが伺えます。



砂漠を1人、川を渡って『すごいね!みんなの通学路』

すごいね!みんなの通学路
ローズマリー マカーニー
西村書店
2017-07-04



 『すごいね!みんなの通学路』
夏の読書感想文課題図書。国連常任理事、ローズマリー・マカーニーが文を添えた写真絵本です。
原作タイトルは『The Way to School 』。

日本語タイトルのセンスの無さは映画でもよくあることですが、この本はあまりにもタイトルで損している気がします。

落ち着きのない5年生には視覚に訴えるものをと、読み語りにこの本を選びました。
読み始めても本棚の陰に隠れてコソコソ話を続けています。

『アスレチックでも、遊んでるわけでもないんだよ。こうしないと、学校に行けないんだよ。』
話に付け加えながら、ただ写真を見せていきます。

水を頭に乗せ、机を抱え、崖にかけたハシゴを登り、壊れた橋を伝って急流を渡り。道無き道を1人で歩く。

子どもたちの目の色が変わっていきます。身を乗り出し、隠れていた子ども達はいつの間にか本の近くに移動しています。
読み終わった時担任の先生が、『本の力ってすごいですね。』と言いました。


私は授業の一部をお手伝いする人間ですので、実はここで感心されても困るのです。


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