アリスの同類

図書室からはじまる、冒険

ここに書いていることは個人の感想です。
転載・リンクはお断りしています(^_-)

他人にはわからないむず痒さ『おしっこちょっぴりもれたろう』


おしっこちょっぴりもれたろう
ヨシタケ シンスケ
PHP研究所
2018-06-05



 「おしっこちょっぴりもれたろう」ヨシタケシンスケ/PHP
ヨシタケさん、こう来たか?
これは、「みえるとかみえないとか」と同じ系列でしょう。
みんな他人にはわからないむず痒さを抱えて生きています。
子どもも大人も、クスっと笑って、自分の不自由さも笑ってしまおう。

『Curious George』の奇跡と家計簿の軌跡


『戦争をくぐりぬけたおさるのジョージ』ルイーズ・ボーデン/岩波書店


大きな小学校の集会での最後の挨拶。
 
図書室で人気の『おさるのジョージ』の本を持って体育館の壇上に立ちました。
 
ユダヤ人のレイ夫妻がナチスの手に落ちる寸前、手作りの自転車でパリを脱出し、海を渡ってアメリカへ辿り着くまでの逃避行。
 
我が子同然の『Curious George』の原画を本にしたいという願いが彼等に生きる希望を与えたのです。
 
小学校で人気のジョージの絵本を読むことができるのはまさに奇跡。

 
この本を翻訳出版したのは岩波書店。
 
素晴らしい仕事です。
 
何故ならヨーロッパでの戦時中の物価や暮らしの細部を実に克明に『家計簿』として書き残していた夫妻の生活記録にもなっているからです。

 
図書館から中学校の平和学習のためにお借りしたことがあったことを久しぶりに思い出したので、この本の紹介を挨拶にかえて。

『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』


ヴァン・ゴッホ・カフェ
シンシア ライラント
偕成社
1996-11-01




『ヴァン・ゴッホ・カフェ』シンシア・ライラント著

この本は初任校の書架でタイトルを見た時からずっと気になっていました。
 
仕事も順調に片付いてきて、ようやくこの本を読む時が来たと思い、隙間時間に読み終えました。

 
カンザス州の平野に立つカフェには、様々な人が行き交い、魔法が起きます。

忌野清志郎は歌に描き、又吉直樹も小説にその名を記した『ゴッホ』。
 
又吉が『人間』に登場させた『夜のカフェテラス』は、昔美大を目指した頃の憧れを思い出させます。
 
この本は連作短編。
 
『スター』、『作家志望の男』を読むと、映像化されてはいないかとネットを調べたくなります。
 
ノラ・ジョーンズとジュード・ロウの『マイ・ブルーベリー・ナイツ』と『バクダッド・カフェ』の間くらいの。

 
私にも『ヴァン・ゴッホ・カフェ』の魔法が待っているといいな。

シンデレラはニューヨーカー『CINDER-ELLYガラスのスニーカーをはいた女の子』



シンダー・エリー―ガラスのスニーカーをはいた女の子
フランセス ミンターズ
ほるぷ出版
1996-02T


 「CINDER-ELLYガラスのスニーカーをはいた女の子」フランセス・ミンターズ/ほるぷ出版


タイトルを見て、CINDERELLAと気がつくには時間がかかりました。
ニューヨークのシンデレラは、舞踏会のかわりにバスケットボールの試合に招待されます。
 
姉さんたちに置いていかれた可哀想なエリー。
 
そこにやって来た名付け親のおばさんが、エリーにくれたのはガラスのスニーカー。
 
カボチャの馬車はゴミバケツの自転車。門限は10時!
 
プリンス・チャーミングはバスケットボールチームの人気者。
 
さあ、このシンデレラストーリーの続きはいかに!

夢のあと先

朝の図書室の匂いは独特で。
 
分類番号別に本が綺麗に並んでいると、もっと嬉しかったりしますが。
 
いつか図書室に帰って来れる日が来るといいな、と神様にお願い🙏


昼休みのあとは、夢の跡。
 
図書室親衛隊は、様々に活躍中。
 
終わってしまいたい作業は手伝ってもらいます。
 
『やめないでずっとここにいればいいのに』と、『私も司書になる』はよく言われるのですが、ウルッとくる代わりにスルッとかわせるようになったのは、いい加減大人になったせいでしょうか?

 

『落語・口上・決めぜりふ』とやなせたかしさん










3時間目はやなせたかしさんの本と詩の紹介。

たまたまゲストでいらした先生が、平和集会でやなせたかしと弟の話をしたくて資料を探していらしたそうで、その場で2冊借りて帰られました。
 
5時間目はことわざ絵本と『ガマの油売りの口上』を読んでみました。

こちらは担任の先生が寅さん好きで、図書の時間の後は大盛り上がり。
 
初見で『ガマの油売り』が何故できるのかと言えば、子供の頃、寅さん映画を散々観たおかげかと思います。
 
こちらに悪気はないのですが。
 
本の力、言葉の力を恐ろしいと思うのはこんな時。
 
子ども達は兎も角、本の紹介も読み語りも、時に先生方を泣かせてしまうことや、何かを掻き立ててしまうらしいのが、ちょっと戸惑うところです💦

前髪の悩み

本を読む子どもの後ろ姿が尊い。
 
と思いきや、振り向いた彼等は、別人です。

 
4時間目、ダンスの為に髪を伸ばしている6年生が『この間この人が(私のことらしい)前髪の悩み、聞いてくれたんだよー』と友達に言いながら本を返却。
 
別に悩みは聞いてない。
 
中学校で苦労するから何処かで線引きしなよ、と彼の愚痴につっけんどんに返事をしただけでした。

 
子どもは残酷だろうか?

 
子どもは、暖かいのだろうか?

バナナのスジは何のため❓4類絵本

バナナのはなし (かがくのとも絵本)
伊沢 尚子
福音館書店
2013-03-10







次の教科書関連の本。
 
素晴らしいと思うと大抵、福音館書店です。

岩波と福音館にハズレは無いと言ってしまいたいほど。

 
バナナのスジが元はバナナの実に栄養を運んでいた大切なパーツであるとか、恐竜は鳥に進化なのか退化なのか知りませんが、何しろ姿を変えることで生き残っているとか。
 
面白くて、美しい4類の絵本たちです。
 
そういえば中学2年から高校3年間通してずっと、数学と生物で100点以外を取ったことが殆ど無かったのでした。
 
でも化学はとても苦手でした。
 
昔の文系クラスの数学なんて、優しかったから不思議ではないのですが。
 
もしかして、自分は本来理系頭なのかも?と今も密かに疑っています💦 

 

『社会科学』のふしぎ

私見です。



 
2004年出版の『みんなで楽しむ‼️障害者スポーツ』という本。
 
障害者スポーツというだけで、社会科学に分類されています。
 
この本は来年の東京オリンピックパラリンピックに向けて除籍します。新しいパラリンピック関連本は既に入れてあります。
 
この古い本に付けられた369という記号は『社会福祉』。防災の本もここに分類されます。
 
今なら全てではないにしろ、副題の『パラリンピック』という括りでこのタイプの本は7類スポーツで分類されるのではないかと思います。

実際、新しいパラリンピック関連の本はスポーツとして分類されます。
 
ほんの十数年ですが、パラリンピックアスリートの活躍は、本の分類さえ変えてしまいつつあるように思います。障害者スポーツであっても『スポーツ』。
 
『社会福祉』の一環というだけではもうないのだと思います。


 新しい本にブッカーをかけている最中、ふと3類ばかりだと気がついて、考えてしまいます。
 
ここでは3類ばかりですが、メディアに関する本の分類がバラついているのは、メディアの捉え方が其々の本で違うからでしょうか?

 
0、1、5、3類にわたるメディア関係の本。今やメディアリテラシーは教育問題であり、情報は疑ってかかるものに変わってしまいました。

蔵書バランスは崩れますが、0類にあるコンピュータの本も、もう使えません。
 
プログラミングの授業が導入される前に、大昔のパソコンの本は総入れ替えが必要。
 
でもこれは引き継ぎ書には書けないな。

『いろんな人の俳句』




 『いろんな人の俳句  うしろすがた』村井康司編/岩崎書店

今日はこの本に呼ばれました。
 
子どもとその周りの風景を中心にした俳句が集められています。
 
絵が大好き。そして、俳句そのものが面白い。

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2年生『おてがみ』ヒキガエルつながりの『おやゆびひめ』




毎週来る2年生は、担任の先生が必ず何か一冊読んで下さいと仰るので、今日も読むことになりました。
 
まだローベルの『おてがみ』の続きのようでしたので、ヒキガエルが出てくる『おやゆび姫』を読んでみました。
 
『オオカミと7匹の子ヤギ』は残酷すぎて、今の子供には‥。
 
『赤ずきん』でさえちょっと躊躇します。
 
『おやゆび姫』には残酷な描写はありませんのでいけるかな、と。
 
読み終えた後、『これ、ほんとのお話?』と聞かれたのが面白かったです😊

 

椋鳩十『山の太郎熊』と『アルプスの少女ハイジ』


山の太郎熊(小学館文庫)
椋鳩十
小学館
2018-07-01




椋鳩十が子供の頃に好きだった本はヨハンナ・スピリの『ハイジ』だったそうです。

 
児童文学としてはデビュー作にあたる『山の太郎グマ』には、少年2人が山奥の家の小屋に寝泊りする藁で作ったフカフカの布団が出てきます。
 
ハイジとクララが少年になったような2人。藁のベッドで寝て2人で馬のミルクを飲み取りたて玉子を生で飲みます。
 
太郎熊のモデルは、実は夫と子供を殺された人間のお母さんです。
 
このお母さんの話は、大人向けの小説として『山の太郎グマ』の前に書かれていました。

昨日4年生の新美南吉が1クラス、今日5年生椋鳩十が2クラス終わりました。
頭の中がいっぱいいっぱいで携帯を家に忘れ、資料を並べた写真も撮り忘れ。
 
凄まじく消耗しましたが、6年目の椋鳩十にも新たな発見があって、とても楽しかったのです。
 
新美南吉の方は、彼が亡くなる前に残した言葉を話しながら、ちょっと込み上げて来るものがありました。

苦手科目の克服には程遠いのですが、7冊揃えた『手ぶくろを買いに』の子狐の手袋の色の比較には、皆身を乗り出して聞いていたので、まあ、いいか、と。
 
自分を自分で慰めています😭

 

『手ぶくろをかいに』の手ぶくろの色

4年生『新美南吉』ブックトークの準備です。

新美南吉『手ぶくろを買いに』には、子狐が買った手袋の色は書かれていません。

それ故に色彩豊かに描かれる絵本の中の手袋の色は赤、青、緑と様々です。
 
挿絵画家が其々に描く子狐の手袋を見ると、南吉が文章の中では色彩に触れずとも、いかに色鮮やかな表現に優れた作家だったかがわかりはしないだろうか?と思いました。
 
今日はブックトークの依頼があったクラスの研究授業を見せて頂きました。週明けのブックトークには資料の不足が致命的だと思いました。
 
急遽市立図書館まで走り、手袋の色を比べるため、この6冊の絵本と、教科書に載っている黒井健さんの挿絵バージョンの合わせて7冊を準備しました。

学級にはすでに人数分の本が揃っていますので、これは完全にブックトーク用です。
 
授業の邪魔をすることなく、少しでも本を読む可能性を広げられるでしょうか?図書館の蔵書のバリエーションは本当にありがたいのです✨✨✨


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アーノルド・ローベル『おてがみ』のカタツムリ考

Frog and Toad Are Friends (I Can Read Book 2)
Lobel, Arnold
HarperCollins
1970-08-01


ふたりはともだち Frog and Toad Are Friends (英語・日本語CD付き)
アーノルド・ローベル
ラボ教育センター
2015-05-01




2年生 アーノルド・ローベル『おてがみ』のブックトーク。
先週もローベルの本を紹介しましたが、今日は殆どフルバージョンのブックトークにしました。

 
『かえるくんは、なぜわざわざ歩くのが遅いカタツムリ君に手紙を託したんでしょうね?あんなに待つんなら、もっと速い友達に頼めばよかったのに』

先週担任の先生から聞かれて、この問題を論じているサイトなどを読んでみたのですが、これという結論はありません。
 
だって1番最初に、がまくんは家の前のポーチで、『おてがみが来るのを待つ』この時間が不幸せなんだって、言っているのです。
 
かえるくんは手紙を待つ間に手紙の中身もバラしますし、4日もたってカタツムリ君はお手紙を届けるのですが、それまで2人は玄関に出て、幸せな気持ちでそこに座っていたのです。
 
2人にとってはお手紙が届くことよりも、お手紙が届くまで待っている時間の方に幸せを感じていたのではないでしょうか?
 
それなら速達よりカタツムリの郵便配達の方が良いですよね。

 

新美南吉『かげ』

『かげ』
 
アンデルセンの短編『影』には驚いたものですが、新美南吉にも同じタイトルの短編がありました。
 
主人公はカラスです。

まさかオチがあの一文とは‥。
 
カラスの不吉さが強調されていたわけでもなく、最後の最後でストン、と落とされたのも小気味よくはありましたが。

 
あれこれ読み込んでいくと、『手ぶくろを買いに』の描写が如何に優れていたかがよくわかります。
 
『出来るだけ悲しくならない新美南吉』を探す旅に出ています。

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『はじまりの日』は解説が秀悦

はじまりの日
ボブ・ディラン
岩崎書店
2010-02-13



ボブディランの『Forever Young 』が絵本に。
 
作者の丁寧な絵の解説がなければ、この本の緻密さは分からなかったと思います。
 
アーサー・ビナードの翻訳と原語を照らし合わせて二度と三度と楽しめます。

大人向けですね。 

ロマンチック番長のレファレンス

ロマンチック番長へのレファレンスから、高学年向けのおススメ本コーナーを作ったところ、早速6年女子が網にかかりました。

本好きは群れて語りたがります。
 
5〜6人がカウンターを取り囲むようにして、みんなで次の選書で入れたい本を考えました。
 
こうして図書室親衛隊的なものができては、毎年卒業していくのです。

 『言葉屋』と『作り直し屋』を借りて行った今日のロマンチック番長。下の写真の本は読んでしまったのでしょうか?
同じクラスの多読男子には『チキン』を。系統の違う多読男子には手探りのレファレンスです。

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『ふたりはともだち』翻訳の素晴らしさ

Frog and Toad Are Friends (I Can Read Level 2)
Lobel, Arnold
HarperCollins
2017-01-03



原書を読んでわかったのは、三木卓さんの翻訳の素晴らしさ。
 
センテンスが短い英文を翻訳するにあたって、三木さんが選んだ2人の(2匹の)語り口調がこの上ない程優しい。

主人公の言葉を獲得するところから翻訳は始まっているのだとつくづく思います。 

『百年たったら』

100年たったら
石井 睦美
アリス館
2018-11-10



「100年たったら」石井睦美
5分で泣ける本は、そうそうありません。

 グッときました。

『すっぱりめがね』と『たべてあげる』



すっぱりめがね
藤村 賢志
教育画劇
2017-09-14


たべてあげる
ふくべ あきひろ
教育画劇
2011-12-01



 表紙が漫画で中身は文字だけの読めない本ばかり借りる小学1年生のクラスがやって来ました。

絵本の楽しさを知らないのかもしれません。

そこでこの2冊を用意して。

『すっぱりめがね』は、色々なものの断面が見えるように『すっぱり』切って見せてくれます。
ラーメン、おにぎり、お茶。
おしまいには車、家まで。
大きな断面図の小さな仕掛けを楽しみたいのですが、読み語りでも声が上がります。

『たべてあげる』はちょっぴり怖い不思議なお話。
ただ、給食でも好き嫌いをそれほど強制されない子供たちには、それほどピンとこないかもしれません。
そこで私はこの絵本、ちょっと機械的に、一本調子で読んでみました。
効果抜群。
 
余計なお世話と思いつつ、今日も「1冊読みましょうか?」と言って、結局アンコールで2冊とも読みました。
 
彼は読んでもらうと大喜びなんですけど、自分では借りないんです。

 
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はどそん

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